桂冠塾

開催内容 桂冠塾【第111回】

『オペラ座の怪人』(ガストン・ルルー)

開催日時 2014年7月26日(土) 14:00~17:00
会場 勤労福祉会館 和室(小)
西武池袋線大泉学園駅・徒歩3分

著者

ガストン・ルルー(Gaston Leroux, 1868年5月6日 - 1927年4月15日)
フランスの小説家、法律家。
1868年、パリのフォーブール=サンマルタン街で、富裕なノルマンディー人夫妻の間に生まれる。
1880年にセーヌ=マリティーム県のウー校に入学し寮に入る。1886年にパリでロー・スクールに入学する。
1987年に『ラ・レピュブリック・フランセーズ』紙に小説 "Le Petit Marchand de Pommes de terre Frites" を発表した。ロースクールを卒業した1889年に父が亡くなり、100万フランの遺産を受けるが、たちまち浪費してしまう。
翌1890年に弁護士資格を取得。
1891年に『エコー・ド・パリ』紙のロベール・シャルヴェーと知り合って記事を書くようになり、またシャルヴェーの秘書となった。その後パリの新聞『ル・マタン』に入社し、劇評などを手がけた他、法廷記者として活躍し、海外特派員に起用される。
1902年に取材に行ったイタリアでジャンヌ・カイヤットと知り合い同棲を始める。
1904年には日露戦争を取材、1905年はロシア第一革命のルポルタージュ執筆、中東などにも取材に赴いた。

1907年に『イリュストラシオン』誌文芸付録に推理小説『黄色い部屋の秘密』(別訳『黄色い部屋の謎』)を連載し、現在でも密室殺人ものの古典的名作として高く評価され、その後はもっぱら作家として人気を博すことになる。
この作品で探偵役を務める新聞記者のジョセフ・ルールタビーユを主人公としたシリーズ作品が書かれるが、どれもスリラー的だとして推理小説としての評価は低い。

また1910年には『オペラ座の怪人』を発表し、大評判になった。1925年に映画化されて、日本でも『キネマ旬報』の娯楽的優秀映画6位と人気を博し、その後も何度も映画やミュージカル化されている。
他に、怪人シェリ・ビビを主人公としたシリーズ作品がある。 現代では推理作家や怪奇小説の書き手として強調されることが多いが、SF、ファンタジー、歴史小説、政治小説などの著作もあり、多くは新聞に連載された。1927年に手術後の尿毒症のためニースにて死去した。

作品の背景

新聞記者でもあったルルーの取材談のような疑似ノンフィクションテイストで書かれている。
ルルーは執筆にあたり、実際のオペラ座(ガルニエ宮)の構造や地下の広大な奈落、建築経過などを詳しく取材しており、かつオペラ座が建設された当時の実際の幽霊話や陰惨な事件などを用いて、虚構と現実が入り交じったミステリアスな怪奇ロマンとして執筆した。
物語前半は、謎の『天使の声』に導かれ歌手として頭角を現す女優クリスティーヌ・ダーエと、彼女が謎の声に魅了されている様子を見て悩み苦しむ恋人ラウル・シャニュイ子爵の葛藤を中心とし、後半は『ファントム=怪人』ことエリックの暴走と悲劇的な素性、そして彼の秘密を知るペルシャ人・ダロガの手記という形で描かれている。この手記を手に入れたルルーが本作を執筆したという仮想現実構造になっている。
特に終盤はダロガが事実上の主役級になっているのが、後のミュージカル版等との大きな相違である。
2011年8月現在、日本語訳は創元推理文庫(三輪秀彦訳)、ハヤカワ・ミステリ文庫(日影丈吉訳)、角川文庫(長島良三訳)が発売されている。それ以外にも児童書向けに書き換えられたものもある(集英社、村松定史訳など)。

作品のあらすじ

19世紀末のパリ、オペラ座の若手女優クリスティーヌは、自分の楽屋の裏から聞こえる『天使の声』の指導で歌唱力を付け頭角を現すが、オペラ座には謎の怪人が住み着いており、月給2万フランと5番ボックス席の常時確保などを支配人に要求していた。
クリスティーヌの恋人ラウル子爵は天使の声の主に嫉妬し謎を解こうとするが、その主こそ『怪人』であり、オペラ座の地下に広がる広大な水路の空間に住み着いた男エリックであった。
エリックは生来の醜悪な人相に壊死した皮膚を持つ、見るもおぞましい異形の男であったが、投げ縄や奇術の天才であり、クリスティーヌに恋をしていた。
エリックは遂にクリスティーヌを誘拐してオペラ座の地下深く消え、残されたラウルは元ダロガ(ペルシャ語で国家警察の長官という意味)の謎のペルシャ人と共にクリスティーヌを追ってオペラ座の地下へ潜入する。

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