桂冠塾

開催内容 桂冠塾【第103回】

『武器よさらば』(ヘミングウェイ)

開催日時 2013年11月30日(土) 14:00~17:00
会場 勤労福祉会館 和室(小) 西武池袋線大泉学園駅・徒歩3分

開催。諸々コメント。

今月の本はヘミングウェイ作『武器よさらば』です。
「桂冠塾ではアメリカ文学を取り上げることが少ない!」という声や「たまには読みやすい名作を!」という要望にお応えしまして(^_^;)この作品を取り上げることにしました。
作品の舞台は1900年代初頭のヨーロッパ。
第一次世界大戦のさなかの北イタリア戦線で繰り広げられる愛情物語です。
敵対している両国はイタリアとオーストリア=ハンガリー。
主人公フレデリック・ヘンリーはアメリカ人なので兵役の義務はないのですが、イタリア軍の志願兵として負傷兵を搬送するトラック隊のリーダーを勤めています。いわゆる後方支援部隊です。
彼がなぜ戦場にくることになったのか、その詳細な理由は語られていません。
青年ヘンリーは待機している町でイギリス人の看護婦キャサリン・バークリと出会い、恋に落ちます。
戦況が次第に悪化する中で二人は互いを求め合っていきます。
次第に戦況が悪化しイタリア軍の敗走が始まり、ヘンリーは任務地に辿りつくことができずやむなく退却の道を辿ることになりますが、敵前逃亡の罪を裁こうとする野戦憲兵から逃れてバークリと再会します。
二人の子供を身ごもったバークリとヘンリーは、戦線から離れるためにスイスへ逃避行を企て、北イタリア戦線からの脱出に成功します。
しかし二人には想像できなかった結末が待っていた...。
読みやすくテンポの良いと言われるヘミングウェイ作品を一緒に読みすすめてみたいと思います。
皆様のご参加をお待ちしております。

作者

アーネスト・ミラー・ヘミングウェイ
(Ernest Miller Hemingway、1899年7月21日 - 1961年7月2日)
アメリカの小説家・詩人。彼の生み出した独特でシンプルな文体は、冒険的な生活や一般的なイメージとともに、20世紀の文学界と人々のライフスタイルに多大な影響を与えた。
ヘミングウェイはほとんどの作品を1920年代中期から1950年代中期に書き上げて、1954年にノーベル文学賞を受賞するにいたった。彼は6つの短編集をふくめて7冊の小説と2冊のノンフィクション小説を出版した。
3冊の小説、4つの短編集、3冊のノンフィクション小説が死後発表された。これらはアメリカ文学の古典として考えられている。

作品の背景

【第一次世界大戦と北イタリア戦線】

北イタリア戦線とは、第一次世界大戦中の1915年から1918年に、イタリア北部においてオーストリア=ハンガリー軍とイタリア軍が、それぞれの同盟国とともに戦った一連の戦争のことである。
イタリアは三国協商各国の援軍を得て、かねてから領有権を主張していた南チロル地方、トレンティーノ地方、トリエステ、イストリア地方、ダルマチア地方(「未回収のイタリア」)を獲得することを望んでいた。
イタリアは迅速な奇襲攻撃でオーストリア領の都市を占領するつもりであったが、戦況はすぐに西部戦線と同じような塹壕戦の泥沼にはまり込んでいった。
三国協商(さんごくきょうしょう)とは
19世紀末から20世紀初頭においてイギリス・フランス・ロシア帝国の各国の間で締結された露仏同盟・英露協商・英仏協商によって作られた三国の協調関係を指した。英仏露協商ともいい、独墺伊同盟と対立し、第一次世界大戦の主要な交戦国となった。またこの関係に日本がかかわり、「四国協商」または「日英仏露協商」という。

イタリアはドイツとオーストリア=ハンガリーと同盟を結んで三国同盟を構成していたが、同盟は防衛的なものであって、オーストリア=ハンガリーの攻勢にイタリアが参加する義務はないとして、1914年8月に参戦せず中立を宣言した。
イタリアとオーストリア=ハンガリーは、1815年にウィーン会議でイタリアの重要な領土がオーストリア=ハンガリーに割譲されて以来、長年にわたって緊張関係にあった。戦争初期から、協商国はイタリアが自陣営に立つよう外交攻勢をかけ、1915年4月26日にはイタリアが三国同盟を放棄して協商国側に加わるロンドン条約が結ばれるにいたった。
そして翌5月23日、イタリアはオーストリア=ハンガリーに宣戦を布告する。

第一次イゾンツォの戦いはイタリア軍が端緒を開いたがアルプスに沿って築かれた強固なオーストリアの防衛線を突破できず撃退される。
アジアーゴの戦いはオーストラリア軍からの反撃戦で、イタリア軍の防衛線を突破するが凌がれてしまう。
イゾンツォの後半戦はイゾンツォ川をめぐって4回の戦いが発生。イタリア軍は大きな戦果をあげ士気を大いに向上させた。
1917年のドイツの参戦によって戦況は激変。ドイツ軍からの援軍と浸透戦術を伝授されたオーストリア軍が優位に立つ一方で、イタリア軍は叛乱と粗悪な環境と無意味な攻撃投入によって士気の低下によって内部から戦力が削がれていった。
カポレットの戦いで背後から攻撃を受けたイタリア軍は大きく撤退する。
しかし急激に前戦を押しあげたオーストリア軍は補給船を確保できず決定的優位は形成できない。ピアーヴェ川をめぐる戦いではイタリア軍の防衛線突破の見込みは断たれて形勢はイタリア軍に傾く。

ピアーヴェ川の勝利に乗って進軍すべきと考える同盟国のフランス、イギリスとは一線を画してイタリア軍は戦力の増幅を整え1918年10月進軍を開始し圧倒的勝利を収めた。
11月3日、オーストリア=ハンガリーは休戦を求める使者を送り同日調印、4日15時に休戦協定が発効された。

作品のあらすじ

作品の舞台は1900年代初頭のヨーロッパ。
第一次世界大戦のさなかの北イタリア戦線で繰り広げられる愛情物語。
敵対している両国はイタリアとオーストリア=ハンガリー。
主人公フレデリック・ヘンリーはアメリカ人なので兵役の義務はないがイタリア軍の志願兵として負傷兵を搬送するトラック隊のリーダーを勤めている。

青年ヘンリーは待機している町でイギリス人の看護婦キャサリン・バークリと出会い、恋に落ちる。
ヘンリーは初めは遊びのつもりの恋であったが、戦況が次第に悪化する中で二人は互いを求め合っていきます。やがてキャサリンの妊娠が分かる。
一方でイタリア軍の敗走が始まり、ヘンリーは任務地に辿りつくことができずやむなく退却の道を辿ることになるが、敵前逃亡の罪を裁こうとする野戦憲兵から逃れてキャサリンと再会する。
二人の子供を身ごもったキャサリンとヘンリーは、戦線から離れるために小型のボートでスイスへ逃避行を企て、北イタリア戦線からの脱出に成功する。
ところが難産の末、子と共にキャサリンは死んでしまい、最後は雨の中をフレデリックは一人立ち去ってゆく。

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