桂冠塾

開催内容 桂冠塾【第105回】

『シンドラーのリスト』(トマス・キニーリ作)

開催日時 2014年1月25日(土) 14:00~17:00
会場 サンライフ練馬 和室(2) 西武池袋線中村橋駅・徒歩5分

開催。諸々コメント。

第二次世界大戦下で行われたナチスドイツによるユダヤ人の強制収容政策。
その渦中にあって、多くのユダヤ人の生命を救った人物がいました。その一人が本作品の主人公であるオスカー・シンドラーです。
この作品を映画を見たという方も多いと思います。
舞台は1940年代のポーランド。第2次世界大戦の最大の悲劇と言われたナチスドイツのユダヤ人大虐殺から1200人ものユダヤ人の生命を救った、軍需工場を経営するドイツ人オスカー・シンドラーを主人公とした実話です。
シンドラーの工場に送られるか、強制収容所に送られるか。どちらの移送リストに載るのかが生死を分ける。ひたすらに名前を書き続けたシンドラーの心中に迫る珠玉の作品です。
本年は世界の民衆を巻き込んだ第一次世界大戦の開戦から100周年、そして来年は第二次世界大戦の終結から70周年という節目の時を迎えます。
第一次世界大戦は、1914年から1918年に行われてしまった人類史上初の世界規模の戦争。ヨーロッパが主戦場となりましたが、戦禍はアフリカをはじめ、中東や東アジアまでにもおよび、多く国々が参戦をした世界規模の大惨事となりました。
節目の今年最初の本として、本作品を通して歴史と人間の生命の底に潜むものを考えてみたいと思います。

作者

トマス・キニーリー( Thomas Michael Keneally, 1935年10月7日~–)
オーストラリア人小説家、ノンフィクション作家。1935年オーストラリアシドニーで生まれる。
1968年から1970年まで、ニューイングランド大学で講師を務めた。
4度ブッカー賞の最終候補になり、1982年に受賞した。
受賞作は、1993年、スティーヴン・スピルバーグ監督『シンドラーのリスト』で映画化され、アカデミー賞の作品賞、監督賞をはじめ7部門を受賞した。

主な作品:
The Chant of Jimmie Blacksmith (1972)
Gossip from the Forest (1975)
Confederates (1979)
Schindler's Ark(『シンドラーズ・リスト 1200人のユダヤ人を救ったドイツ人』)(1982)

作品のあらすじ

第二次世界大戦時にナチスドイツによるユダヤ人の組織的大量虐殺(ホロコースト)が東欧のドイツ占領地で進む中、ドイツ人実業家オスカー・シンドラーが1100人以上ものポーランド系ユダヤ人を自身が経営する軍需工場に必要な生産力だという名目で絶滅収容所送りを阻止し、その命を救った実話を描く。ホロコーストに関する映画の代表的作品として知られる。

1939年9月、ドイツ軍によりポーランドが占領され、ポーランドの都市クラクフもドイツ軍の占領下に置かれた。ユダヤ人を激しく蔑視するナチス党政権下のドイツ軍はクラクフ在住のユダヤ人に移住を強制し、彼らをクラクフ・ゲットーの中へ追放していた。
そんな中、ナチス党の党員でもあるドイツ人実業家オスカー・シンドラーが、クラクフの町へやってきた。彼は戦争を利用してひと儲けすることを目論み、潰れた工場を買い取ってDEF(ドイツエナメル容器工場・別名エマリア)の経営を始めた。

有能なユダヤ人会計士イザック・シュターンに工場の経営を任せ、安価な労働力としてゲットーのユダヤ人を雇い入れ、また持ち前の社交性でナチス親衛隊将校に取り入って自らの事業を拡大させていった。

しかしやがて残虐な親衛隊将校アーモン・ゲート少尉がクラクフ・プワシュフ強制収容所の所長としてクラクフに赴任してきた。ゲートとその部下の親衛隊隊員達は、ゲットーや収容所においてユダヤ人を次々と殺戮していく。
シュターンを初め、シンドラーの工場で働くユダヤ人たちにも危機が迫る。ゲットーでおこなれている事実を目の当たりにした時、軍需工場の受託も取り付け、金儲けにしか関心がなかったシンドラーの心境に変化が生じていく。

シンドラーはユダヤ人の生命を救うためにユダヤ人を熟練工という名目で雇用する。将校達への接待を繰り返し、いかにももっとらしい理由をまくしたてながら処分されかかった多くのユダヤ人を助ける。
ゲットー内へ強制収容になった際には生産性を維持するという名目で工場内に宿舎を建設し、生活を守った。

クラクフ・プワシュフ強制収容所が解体されることが決まり、ユダヤ人のアウシュビッツへの移送が決まるとシンドラーは自らの工場を新たな土地ブリンリッツに移転する計画を実行し、ユダヤ人従業員のアウシュビッツ移動を阻止しようとする。
数々の障害が立ちはだかり、手違いでアウシュビッツに送られた女性達も最後はブリンリッツに辿りつく。

新工場では兵器部品をほとんど製造することもなく、終戦を迎える。
戦争に協力したとの嫌疑がかけられる危険があるシンドラーは終戦の時刻と共に逃走する。その直前までシンドラーはユダヤ人従業員に同胞として語りかけた。

戦後のシンドラーの生活は成功者ではなかった。しかし多くの「シンドラーグループ」の人達に支えられて幸福な人生を閉じた。

主な登場人物

オスカー・シンドラー
イザック・シュターン
アーモン・ゲート
エミリエ・シンドラー
ポルデク・ペファーベルグ
ヘレン・ヒルシュ
マルセル・ゴールドベルク
ユリアン・シェルナー
ミラ・ペファーベルグ
カジャ・ドレスナー
ダンカ・ドレスナー
メナーシャ・レヴァルトー

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