桂冠塾

開催内容 桂冠塾【第114回】

『レジリエンス 復活力』(アンドリュー・ゾッリ他)

開催日時 2014年10月25日(土) 14:00~17:00
会場 向山庭園 和室(第2)
西武豊島線/大江戸線としまえん駅徒歩3分

開催。諸々コメント。

「レジリエンス」。
近年時折り耳にするようになった言葉の一つですが、使われている意味はかなり広い定義、といいますか使う人や分野によって様々な意味合いを持たせている概念のように感じる言葉です。
この「レジリエンス」を表題にした書籍が今回取り上げる『レジリエンス-復活力-』です。副題には「あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か」との文章が添えられています。

レジリエンスという言葉は元々は物理学の用語と言われており「外的要因に対する歪み(ストレス)」の対語とされています。
心理カウンセラー等が使うと心的ストレスに対する耐久力、防衛因子という意味であることが多く「折れない心」という側面が強調されているように感じます。
本書の日本語タイトルである「復活力」も必ずしも適切な言葉ではないかもしれませんが、かなり苦心して約したんだろうなと感じます。

様々な解釈がなされている「レジリエンス」という言葉ですが、共通しているのは「脆弱性」に対する反対概念であるという点です。
本書では様々な分野で使われる「レジリエンス」という言葉を俯瞰しながら、個人、集団、そして社会システムにおける脆弱性に対するレジリエンスの果たす役割とそのあり方が考察されています。

ある意味で、豊富な様々な分野の事例の考察を経ながらレジリエンスの概念を読者自身が熟成する過程を経ているような側面があります。
そのうえで個人、集団、社会システムをいかにしてレジリエンスの高いものにしていくのか。その点が本書の大きなテーマの一つになっています。

ライフスタイルや価値観の多様化が進む現代において、私達が拠って立つ生き方も念頭に置きながら読み進めてみたいと思います。

著者

アンドリュー・ゾッリ(Andrew Zolli)
クリス・アンダーソン、ナシーム・タレブ、トーマス・フリードマン、マルコム・グラッドウェルなどが参加し、「先端的な知のコミュニティ」として知られる国際的なイノベーターのネットワーク、「ポップテック(PopTech)」のエグゼクティブ・ディレクター、キュレーターをつとめる。
ナショナル・ジオグラフィック協会フェロー。テクノロジー、サステナビリティ、グローバル社会の交点に生じる複雑な現象を研究している。
その仕事はニューヨーク・タイムズ紙、ファスト・カンパニー誌など多くのメディアで紹介されている。
共著者はアン・マリー・ヒーリー(Ann Marie Healy)。劇作家、脚本家、ジャーナリスト。

作品の章立て

序章 レジリエンスとは何か
第1章 頑強だが脆弱なシステムはどう崩壊するか
第2章 感知し、拡大し、参集する
第3章 多様性を密集させる
第4章 人はいかに心の傷から回復するか≪個人のレジリエンス≫
第5章 協力と信頼はいかに生まれるか≪社会のレジリエンス1≫
第6章 リスク志向から抑制する多様性と寛容さ≪社会のレジリエンス2≫
第7章 コミュニティの適応能力≪社会のレジリエンス3≫
第8章 コミュニtジを支える「通訳型」リーダー≪社会のレジリエンス4≫
第9章 レジリエンスの習得

レジリエンス

レジリエンスの定義
システム、企業、個人が極度の状態変化に直面したとき、基本的な目的と健全性を維持する能力

レジリエンスの向上のための方法
1)回復不能なダメージを被りかねない領域に押しやられないよう抵抗力を身につける
2)閾値を越えてしまったときに、システムが健全に適応できる領域を維持し拡張する

レジリエンスの必要条件
1)フィードバック
2)資源とプロセスの集中化

シースファイアの方針
1)暴力の伝染を防ぐ
2)もっとも危険性の高い感染源の思考を変える
3)コミュニティ全体の規範を変える

※事例を中心に---

メキシコ・トルティーヤ騒動
サンゴ礁の崩壊 アカククリ
リーマンショック CDOとCDS リバティストリート33番地
スイス 非公式通貨WIR
アルカイダ ヘモラージ作戦 『インスパイア』
結核菌
新しい電線網 マイクログリッド
生物と都市 スケーリング法則
熱帯雨林再生計画 サトウヤシ
ハイチ地震 ミッション4636
救援プラットフォーム「ウシャヒディ」
リスクのホメオスタシス理論
メキシコ湾原油流出事故
マインドフルネス瞑想
囚人のジレンマ
“部族”の拡大
パレスチナ問題
レッドチーム 悪魔の提言者(デビルズ・アボドケイト)の養成
ダンバー研究チーム 認識の多様性
確証バイアス
バングラディシュの汚染された井戸
サウスシカゴ シーファイアの挑戦
トランスレーショナル・リーダー
パラオ イデオンの実践
ケニア キリモ・サラマ
FLOW
エピデミックIQ
マリンインベスト
ハリケーン・カトリーナの被害 ハンコック銀行

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