桂冠塾

開催内容 桂冠塾【第115回】

『大いなる遺産』(ディケンズ)

開催日時 2014年11月22日(土) 14:00~17:00
会場 勤労福祉会館 和室(小)
西武池袋線大泉学園駅・徒歩3分

開催。諸々コメント。

本作品の舞台はイングランド。テムズ川下流の沼地で海からは30Kmほど内陸に入ったあたりの寒村から物語が始まります。
主人公ピップは貧しい家庭的に生まれ幼少の頃に両親は他界。姉と姉の夫である鍛冶屋のジョーに育てられていて、将来はジョーに年季奉公することになっています。そんなピップがクリスマスイブの夜に近くの墓地で囚人船から脱獄した囚人に出会います。囚人に脅されたピップは足枷を切るヤスリと食物を自宅から盗んで運びます。その時の恐怖をピップはその後も引きずって生きます。

そんなある日ピップはサチス荘と呼ばれている古びた豪邸に招かれます。そこには婚礼の時で時間が止まった年老いた女主人と養女のエステラが暮らしていました。そこでピップは女主人の言われるままに、そのことの意味もわからないままエステラとカード遊び等をやってみせます。
そうした出来事が何回か続いたある日。ピップの元に弁護士ジャガーズが訪ねてきます。ジャガーズはある人物に依頼されてピップをその人物の遺産相続予定人であることを告げます。そしてピップはその謎の依頼人の意向を受けて紳士としての素養を身につけるべくロンドンに向かいます。

突然降ってわいた遺産相続の話。
ピップはその後どのような人生を歩むことになるのでしょうか。
巨額の富を手にした時人間はどのような生き方にかわるのか、そしてその回りの人達がいかに変わるのか...。
ディケンズが自身の経験も踏まえて書いたとされる本作品をじっくりと読み進めてみたいと思います。

著者

チャールズ・ディケンズ
(Charles John Huffam Dickens, 1812年2月7日 - 1870年6月9日) チャールズ・ディケンズ(1812年2月7日 - 1870年6月9日)は、イギリスのヴィクトリア朝を代表する小説家。ポーツマスの郊外に生まれた。

年少時より働きに出され、新聞記者を勤めるかたわらに、作品集『ボズのスケッチ集(Sketches by Boz)』で登場。主に下層階級を主人公とし、弱者の視点で社会を諷刺した作品群を発表した。その登場人物は広く親しまれており、イギリスの国民作家とされる。作品は『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』『デイヴィッド・コパフィールド』『二都物語』『大いなる遺産』など。1992年から2003年まで用いられた10UKポンド紙幣に肖像が描かれている。

一般にディケンズの作品は、プロットの巧みさなどにはやや難があり、最良の部分は人物描写などの細部にある、と言われることが多い。多作家でもあるため出来栄えにムラがあるが、『大いなる遺産』などの名作では、そうした描写力に、映画のカメラワークにも似た迫真のストーリー・テリングが加わり、読者をひきつける。精密な観察眼と豊かな想像力で、時代社会の風俗を巧みに描いた。日常生活の描写は具体的で、丹念に細部に亘って生き生きと写し出されており、登場人物の性格はシェイクスピアのそれに比して多種多様であり、ほとんどが典型として戯画化されているにもかかわらず、型を破ってはみ出すような生命力に満ちている。とくに前期の作品においては主人公に個性があまり見られず、脇役にこうした特色を与え作品を盛り上げている。

また、幼少時の貧乏の経験からおのずと労働者階級に同情を寄せ、時に感傷が過度になることもあるが、常に楽天主義と理想主義に支えられ、ことに初期の作品には暖かいユーモアとペーソスが漂っている。
その点、ヴィクトリア朝の代表作家として並び称され、中・上級階層を中心に描いたサッカレーとは対照的である。後期には、健康状態の衰えなどの影響もあって徐々に悲観的な価値観に傾斜していき、作品発表のペースも落ちた。初期の明るいユーモアや天才的なキャラクター造形は目立たなくなっているものの、プロットは複雑で深遠になり、主題を強調することに成功している。ただし偶然に頼ったご都合主義の物語展開や、最後をめでたく終わるといった典型は最後まで残った。これは月刊分冊という発表形態で、売れ行きや人気を考えてあらすじや登場人物を変えていったためであると評されている。

英語圏では、彼の本、そして彼によって創造された登場人物が、根強い人気を持って親しまれている。『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』『デイヴィッド・コパフィールド』『二都物語』『大いなる遺産』などは、忘れ去られることなく現在でも度々映画化されており、英語圏外でもその作品が支持され続けている。

主な登場人物

◆ピップ
フィリップ・ピリップ。物語の主人公。孤児で、姉とその夫ジョー・ガージャリーに育てられる。
◆ジョー・ガージャリー
鍛冶屋。ピップを育て、終始変らぬ彼の味方。気だてが優しく、たえず妻に文句を言われている。暴力的妻が亡くなり、やがて気立ての良い娘、ビディーと結婚。ピップが遺産相続の見込を失い、病気になったとき、ジョーが看護し面倒をみた。
◆ミス・ハヴィシャム
変人の老婦人。”満足(サチス)荘”で隠遁生活を送り、退屈しのぎに少年ピップを招く。若いとき彼女は美人で、親の遺してくれた豊かな財産があった。コンピィソンと婚約したが、結婚式当日の朝、コンピィソンから婚約破棄の手紙を受け取り、以後頭がおかしくなる。その手紙の来た9時20分で家中の時計を止めすべての窓を閉ざし、花嫁衣裳を着たままで暗い部屋に住んでいる。彼女は美しい娘エステラを養女とし、彼女を通して世の男性に復讐しようと決心していた。ピップは自分に遺産を贈ってくれたのはミス・ハヴィシャムだろうと長い間思っていた。
◆エステラ
ミス・ハヴィシャムの養女。満足荘を訪れた少年ピップを無知な労働者の子だと軽蔑した。その後大いなる遺産を受け取るはずの青年として彼女に会ったピップはますます彼女を愛するようになる。しかし、彼女はピップの懇願を振り切って、乱暴な男ベントリー・ドラムルと結婚しようとし、破綻した末、一人ぼっちになる。物語の途中でピップは、エステラが犯罪者マグウィッチの娘であることを知る。彼女の母親は、死刑になるところを弁護士ジャガーズに救われ、その後彼の家の女中をしているモリーであった。
◆エイベル・マグウィッチ
ピップが沼地で食物とヤスリを与えた脱獄因。再び捕えられてオーストラリアに終身流刑になる。そこで牧羊業で成功し、もうけた金をジャガーズを仲介してピップが紳士になるための教育費として、また将来は大いなる遺産として彼に贈ることにする。
立派になったピップに会おうと死を賭して帰国したマグウィッチは、ピップとその友人ハーバート・ポケットの計らいで国外に逃亡しようとするが、宿敵コピィソンが警察に密告したため逮捕される。死刑を宣告されるがコンピィソンとの水中での格闘で負傷したことが原因で死亡する。彼の死ぬ直前にピップは彼の娘エステラが生きていることを告げた。
◆コンピィソン
紳士の仮面をかぶった悪党。マグウィッチを悪の道に引き入れたのも、ミス・ハヴィシャムから金をしぼり取った後、裏切ったのも彼であった。マグウィッチの不倶載天の仇で、マグウィッチは最後に彼の手引きで警察につかまるとき、彼と水中で戦い溺死する。
◆ビディ
◆ウェミック
◆オーリック
◆ハーバート
◆パンブルチューク


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