桂冠塾

開催内容 桂冠塾【第129回】

『白痴』(ドストエフスキー)

開催日時 2016年1月30日(土) 14:00~17:00
会場 勤労福祉会館 和室(小)
西武池袋線大泉学園駅・徒歩3分

開催。諸々コメント。

今年最初の本はドストエフスキーにしました。
桂冠塾では『貧しき人びと』『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』に続いて4作品目になります。

物語はペテルブルク=ワルシャワ鉄道の車内から始まります。
時代は明記されていませんが書かれている内容から作品が書かれている時代と同じ1860年代であることがわかります。

癲癇の持病がありスイスの病院で治療静養していた26~27歳の青年ムイシキン公爵は、27歳くらいの青年ロゴージンと乗り合わせます。
ムイシキン公爵は援助者の死に伴い縁故のあるエパンチン将軍夫人を頼ってロシアに帰国、ロゴージンは父の死によって莫大な遺産が入り急ぎ自宅に戻る途上。それぞれの理由でペテルブルクへ向かっていました。
ムイシキンは車中で、ロゴージンが求愛しようとしているナスターシヤの経歴や彼女を囲い者にしていたトーツキーのこと等を聞きます。

ペテルブルクに到着したムイシキンはエパンチン家を訪れます。将軍夫妻と三姉妹に会い、一家の好印象を得ます。この時彼は、将軍の秘書ガウリーラ(ガーニャ)が金のためにナスターシヤと結婚しようとしていることを知ります。この結婚は、自分の悪行を許さないナスターシヤを結婚させて自分はエパンチン家の長女と結婚したいトーツキーと、トーツキーの名声と資産をあてにしたエパンチン将軍の策略でした。一方のナスターシヤは、家族の中で自分の人生を復活させたいと思いこの結婚に同意していました。

最初に出会ったときからナスターシヤのことを「清らかなまま」だと言い、ナスターシヤはムイシキンのような男が現れるのを夢見ていたという。ムイシキンはその場でナスターシヤに求婚します。
物語の冒頭から波乱万丈の純愛小説のような様相を呈しているかに思える展開ですが、ナスターシヤはムイシキンに惹かれながらもロゴージンの元に走ってしまいます。それも複数回にわたり。
一方で純愛を通すかに思えたムイシキンはエパンチン家の三女アグラーヤと婚約することになります。
その後も予想外の展開が何度にもわたって繰り広げられていきます。

いったい何がナスターシヤをそのような行為に走らせたのか。
ムイシキンの真意はどこにあるのか。
そして物語の結末はどこに行ってしまうのか。

表面上は恋愛小説のごときプロットで展開される『白痴』ですが、その本質にはドストエフスキーが悶々と悩み続けてきた信仰と生命に関する思索と疑問とが投げかけられています。
当時のロシアとロシア正教、そしてキリスト教そのものが抱えていた暗闇も大きく影響していたこの作品を一緒に読み進めてみたいと思います。
皆様の参加をお待ちしております。

作品のあらすじ

癲癇の持病がありスイスの病院で治療静養していた26~27歳の青年ムイシキン公爵は、27歳くらいの青年ロゴージンと乗り合わせます。
ムイシキン公爵は援助者の死に伴い縁故のあるエパンチン将軍夫人を頼ってロシアに帰国、ロゴージンは父の死によって莫大な遺産が入り急ぎ自宅に戻る途上。それぞれの理由でペテルブルクへ向かっていました。ムイシキンは車中で、ロゴージンが求愛しようとしているナスターシヤの経歴や彼女を囲い者にしていたトーツキーのこと等を聞きます。

ペテルブルクに到着したムイシキンはエパンチン家を訪れます。将軍夫妻と三姉妹に会い、一家の好印象を得ます。この時彼は、将軍の秘書ガウリーラ(ガーニャ)が金のためにナスターシヤと結婚しようとしていることを知ります。この結婚は、自分の悪行を許さないナスターシヤを結婚させて自分はエパンチン家の長女と結婚したいトーツキーと、トーツキーの名声と資産をあてにしたエパンチン将軍の策略でした。一方のナスターシヤは、家族の中で自分の人生を復活させたいと思いこの結婚に同意していました。

最初に出会ったときからナスターシヤのことを「清らかなまま」だと言い、ナスターシヤはムイシキンのような男が現れるのを夢見ていたという。彼女は、まだ幼いころからある資産家の情婦となっており、悪評が付きまわっていたが、実は誇り高い女性だった。
ムイシュキンも、彼女と会って自分と共通する部分を感じ、彼女を商品であるかのように金銭を積み上げる男達を前にして、ついに自らも求婚する。ところが、彼女は、ムイシュキンの善良さに気づきながらも、ロゴージンとの生活を選ぶ。こうして、2人はライバルとなり、ロゴージンはムイシュキンを殺そうと企てるが、すんでのところでムイシュキンが発作を起こして失敗する。

そのうち、将軍の娘アグラーヤも、ムイシュキンに思いを寄せる。ロゴージンを選びながらも、陰ながらムイシュキンを愛していたナスターシャは、ムイシュキンに幸せになって欲しいと思い、アグラーヤに手紙で結婚を勧める。そのうち、アグラーヤとムイシュキンは相思相愛になる。しかし、アグラーヤは、例の手紙のことから、ナスターシャがまだムイシュキンを好きで、ムイシュキンもナスターシャを忘れていないのではないかと嫉妬する。
そのうち、モスクワへ行っていたナスターシャとロゴージンが戻ってくる。アグラーヤは、ナスターシャとムイシュキンの関係をはっきりさせようと赴くものの、かえってナスターシャとムイシュキンを結びつけることになる。

ムイシュキンとナスターシャは、結婚することになる。しかし、ムイシュキンとの結婚当日になって、彼女はまたロゴージンと逃げ出す。ムイシュキンが駆け付けたとき、彼女は、既にロゴージンに殺されていた。ムイシュキンとロゴージンは、かつて同じ相手を愛した者として、ナスターシャの死体の前で一夜を過ごす。発見された時、ムイシュキンは、元の白痴に戻っており、療養の日々を送ることになる。裁判の結果、ロゴージンは、シベリア徒刑となった。
アグラーヤは亡命していたポーランド人の伯爵と結婚し、カトリックに入信。家族との縁を絶った。物語はエリザヴェータ夫人の言葉で終わる。
「のぼせあがるのもいい加減にして、そろそろ理性の声を聞く時よ。こんなものはすべて、この外国も、あなた方のヨーロッパも、全部ただの幻ですよ。そうして私達もみな、外国にいる限り幻だわ。私の言ったことを覚えておいて、いまにわかるから!」

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