開催内容 桂冠塾【第138回】
『貧乏物語』(河上肇著/佐藤優訳)

| 開催日時 | 2016年10月29日(土) 14:00~17:00 |
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| 会場 | 勤労福祉会館 和室(小) 西武池袋線大泉学園駅・徒歩3分 |
著者
河上肇(かわかみ はじめ、1879年10月20日 - 1946年1月30日)経済学者。京都帝国大学でマルクス経済学の研究を行っていたが、教授の職を辞し、共産主義の実践活動に入る。日本共産党の党員となったため検挙され、獄中生活を送る。カール・マルクス『資本論』の翻訳(第一巻の一部のみ翻訳)やコミンテルン三十二年テーゼの翻訳のほか、ベストセラー『貧乏物語』の他に、『第二貧乏物語』『資本論入門』の著作がある。死後に刊行された『自叙伝』は広く読まれた。名文家であり、漢詩もよく知られている。
訳・解説者
佐藤優(さとう まさる、1960年〈昭和35年〉1月18日 - )作家、元外務省主任分析官。1960年生まれ。1985年に同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在英国日本国大使館、在ロシア連邦日本国大使館に勤務した後、本省国際情報局分析第一課において、主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍。2002年背任と偽計業務妨害容疑で東京地検特捜部に逮捕され、2005年執行猶予付き有罪判決を受ける。2009年最高裁で有罪が確定し、外務省を失職。2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。2006年『自壊する帝国』で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2016年第10回安吾賞受賞。他の著書に『獄中記』『同志社大字神学部』『いま生きる「資本論」』『「ズルさ」のすすめ』『プラハの憂鬱』『君たちが知っておくべきこと 未来のエリートとの対話』など多数。
作品の構成・あらすじ
(1)はじめに 『貧乏物語』と現代(佐藤優)①「パナマ文書」は何を語るか--資本主義は格差を生む
②トランプ、サンダース旋風の正体
③教育の右肩下がりの時代
④いくら働いても貧乏から脱出できない
⑤貧富の格差が拡大した100年前と現代
⑥河上の思考実験を引き継ぐ
(2)『貧乏物語』
序(弘文堂版)
上編 いかに多数の人が貧乏しているか
第1章 「貧乏線」を生きる人びと
第2章 豊かな先進国の多くの貧乏人
第3章 イギリス児童食事事情
第4章 貧乏との大戦争
中編 何ゆえに多数の人が貧乏しているか
第5章 なぜ人間社会は発達したか
第6章 機械の発明という衝撃
第7章 贅沢品と生活必需品
下編 どうすれば貧乏を根治できるか
第8章 貧乏をなくす三つの方法
第9章 アダム・スミスの間違い
第10章 経済体制の改造か個人の改善か
第11章 経済問題は究極の社会問題
第12章 贅沢廃止論
第13章 経済学と倫理学
付録 ロイド・ジョージ
(3)おわりに 貧困と資本主義(佐藤優)
①性悪説のピケティと性善説の河上肇
②働いても貧乏から脱出できない--『貧乏物語』(上編)解説
③貧乏の原因は何か--『貧乏物語』(中編)解説
④貧乏をなくす三つの方法--『貧乏物語』(下編)解説
⑤善意の帝国主義者--ロイド・ジョージ論
⑥ふたたび貧困は社会問題になった
⑦教育の無償化という貧困対策
⑧人間関係の商品化
⑨資本主義の矛盾を解決する二つの方法
主な論点
■貧乏人とは1.他の誰かよりも貧乏な人
2.生活保護などの公的扶助を受けている人
3.身体を自然に発達させ維持するのに必要なものだけをギリギリまかなえる(貧乏線上にいる)もしくはそれすらも十分に得られない人(貧乏線以下の人)
■なぜ多数の人が貧乏しているか
→生活必需品の生産量が足りないから。
→一部の富裕層と多数の貧乏人が存在する。富裕層は米や下駄を買ってもまだお金が余っており、贅沢品を求める。これは「購買力を伴った需要」であるため、購買力の低い貧乏人の需要(生活必需品が欲しいという需要)は追いやられ、贅沢品が供給され、儲けにならない生活必需品の供給は欠乏する。
→貧乏な人は生活必需品を購入する資力がないことによってますます貧乏に苦しむ。
どうすれば貧乏を根治できるか
1.裕福な人々が自ら進んで一切の贅沢をやめる(贅沢の抑制)
2.なんらかの方法で貧富のひどい格差を縮小する(所得再分配)
3.各種の生産事業を民間人の金儲けの手段にするのではなく、政府が自ら行う(産業の国有化)
→河上の意見は最終的に2,3を否定し、1へ。
佐藤優氏の考える貧乏の根治
1.子どもの貧困対策として、教育の原則無償化
→富裕層も含む。消費税で確保できるはず。
2.河上も唱える、自覚した富裕層による再配分
→貧困層への贈与。例えばフードバンクなど。
3.友人同士の「相互扶助」
→お互いに助け合うことのできる友人を作っておこう。そして、食事や酒の時間をもっと楽しもう

